GWも終わりに差し掛かるころ、彼女と2人で弾丸日帰り旅行を決行。食、自然そして観光。”秩父らしさ”を朝から晩までぎゅっと詰め込んだ勢い重視の春のピクニックです。
関東近郊で日帰り旅を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
【旅の基本情報】
項目 | 内容 |
---|---|
エリア | 秩父・長瀞(埼玉県) |
旅の日数 | 日帰り |
同行者 | カップル |
予算 | 1人あたり10000円(お土産・食事・移動含む) |
交通手段 | 電車(西武線・秩父鉄道) |
【この旅に出た理由】
私たちは、少し遅めの春を拾いに秩父へ向かった。
そういえばどこか文学的で格好がつきそうだけれど、実際のところは「GW、何もしてなくない?」という焦りから始まった、ちょっと必死な小旅行だ。
彼女がぽつりと、「芝桜、まだ咲いてるかなあ」と言った。
それだけで、理由は十分。
大げさな予定はなくとも、電車に乗れば少しだけ非日常が始まる。そんな弾丸旅の気軽さが、今のふたりにはちょうどよかった。
朝7時02分。私たちは眠い目をこすりながら、秩父行きの列車に乗り込んだ。
【旅の流れ】
午前

秩父に着いてまず向かったのは、言わずと知れた氷の名店「阿左美冷蔵」。
古民家風の店内は、少しバタついた朝の私たちを静かに迎え入れてくれた。
ゆったり流れる時間に身を委ね、待つことしばし。
運ばれてきたのは、まるで芸術作品のようなかき氷だった。
「朝ごはんにかき氷って、アリなのか……?」
そんな疑問を抱きながら一口。――ふわっふわだ。
秘伝蜜の甘さはやさしく、そして何より頭がキーンとしない。
冷たいものだということすら、忘れてしまいそうになる。
彼女の目がまるくなる。その様子が、少しうれしい。
かき氷は舌のうえで溶けて消えたけれど、旅の記憶にはしっかりと残った。

岩畳を目指して、のんびりと歩く。
途中、風に揺れる藤棚が目にとまった。紫のカーテンのように咲き乱れるその花は、美しくて幻想的だった。
「ちょっと立ち止まって」
彼女を画角に収めて、シャッターを切る。
藤の香りに包まれながら歩いていると、白詰草をよじ登るてんとう虫を見つけた。
「がんばれー!」
彼女が小さく応援している。その姿に、思わず笑みがこぼれる。虫に優しい彼女、なんだかとてもいい。
春らしさというのは、こういうふとした情景のなかにこっそりと宿っている。
しかも不意打ちでやってくるのだから、まったく油断ならない。
藤棚は旅館「養浩亭」の敷地内の駐車場付近にあるものでした。
養浩亭の情報は各旅行サイトでもチェックできます。
午後

川のせせらぎをBGMに、「岩畳」の上にレジャーシートを広げる。
いよいよ待ちに待ったお昼タイム。
秘密兵器として、朝こっそり仕込んでおいたお手製ホットサンドを取り出す。
「えっ、作ってくれたの!? いつの間に!」
彼女が本気で驚いてくれる。
その顔を見て、ちょっとドヤ顔になった。
自然のなかで乾杯。ふたりだけの、小さなピクニック。
ここまでは想定通りだった。
……が、水たまりを覗いたら、想定外が待っていた。
大量のおたまじゃくし軍団。数えきれない。いや、数えたくもない。
生命の密集地帯に、ただただ笑うしかなかった。
春、生命力ありすぎ問題。
おたまじゃくしの写真を載せるのは控えるとしよう。
集合体恐怖症の方への配慮。

西武秩父駅前で偶然出会った「CHICHIBU CRAFT BEER FEST」。
予定になかったイベントに遭遇するのも、旅の醍醐味だ。
吸い寄せられるように入り、4種の飲み比べセットをシェア。
「どれが好き?」「うーん、どれも飲みやすい!」「結論、全部うまい!」
味のレビューがどんどん雑になる。これでいい。
酔っているときの会話は、内容より雰囲気が大事だ。
「秩父麦酒4種飲み比べ」「矢尾本店FEST365 4種飲み比べ」など秩父のクラフトビールを存分に堪能できるラインナップ。きっとお気に入りの1杯に出会えるはずです。

いよいよ旅のメインイベント、「羊山公園」の芝桜へ。
丘に広がる花は、まるで春色のパレットをひっくり返したようだった。
数日前の雨で少し散り始めていたけれど、それでも十分に美しい。
「わあ……」と、彼女の頬が少しだけ上気する。
それだけで、今日という日が特別なものになった気がした。
芝桜の余韻を胸に、公園内のマルシェをぶらぶら。
鹿肉の串とイノシシの焼売を半分こして挑戦。
「意外と食べやすい!」「臭みないじゃん!」
ジビエという未知なる味に、ふたりで顔を見合わせて笑った。

旅の終わりは、「ちちぶみやげ市」でのお土産探し。
秩父プリン、秩父味噌、ミード(蜂蜜酒)など、気になるものをいくつか購入。
「帰ったら一緒に食べようね」と彼女が言った。
その一言が、今日の旅をやわらかく締めくくってくれた。
【思い出日記】
旅というのは、計画をなぞるためのものではない。
むしろ、その“行間”にこそ、旅らしさという魔法が宿る。
てんとう虫、藤の花、おたまじゃくしの群れ、偶然見つけたビールフェス。
彼女の仕草や笑顔。
どれもガイドブックには小さくしか載っていないか、もしかすると載っていない。
でも、そういうものほど、記憶の中でどんどん大きくなっていく。
そんな旅が、きっと一番いい。
【旅のまとめ/行った場所一覧】
- 阿左美冷蔵 金崎本店(ふわふわの天然氷と秘伝蜜で知られる、かき氷の名店。朝から行列必至!)
- 長瀞岩畳(荒川沿いに広がる自然の岩畳。悠久の流れが刻んだ秩父の名勝。)
- 埼玉県立自然の博物館(長瀞の自然や化石、生き物たちを学べる博物館。恐竜好きにもおすすめ。入館料は安くてお得。)
- 養浩亭(渋沢栄一が名づけた由緒ある老舗旅館。春には見事な藤棚が咲き誇る。)
- 丹一漬物処(長瀞岩畳通りに佇む老舗。名物「きゅうりの一本漬け」はほてった体に塩分と冷気をチャージしてくれる。)
- 万寿庵(長瀞岩畳通りのお土産天国。試食コーナーも盛りだくさん。)
- CHICHIBU CRAFT BEER FEST(大人のための”小さなお祭り”。秩父ならではのホップが香るビールが勢揃い。)
- 羊山公園 芝桜の丘(インスタ映えが狙える芝桜の名所。一面花の絨毯が広がる季節限定の絶景スポット。)
- 秩父マルシェ(羊山公園内にある季節限定のお土産&グルメのエリア。地元の美味しいが勢ぞろい。)
- ちちぶみやげ市(西武秩父駅に直結する「祭の湯」施設内にある秩父の特産品が集まるお土産ハンター必見のエリア。)



今回のピックアップ
八尾本店 Fest365 クラフトビール飲み比べ5本セット

秩父の老舗酒蔵が醸造するクラフトビール5本セットです。ペールエール、ピルスナー、ポーターなど多彩なスタイルが揃えられており、香りや苦味、コクが異なり飽きずに楽しめます。祭りの情景を描いた、ワクワク感あるラベルデザインも魅力です。