秩父で「かき氷」といえば必ず名前が挙がる氷の名店――それが「阿左美冷蔵(あさみれいぞう)」。明治23年創業の老舗が手がける天然氷を使ったかき氷は、まさに“別次元”の口どけ。夏だけでなく、春や秋の観光シーズンにも行列が絶えません。
実際の阿左美冷蔵本店の体験レポートを中心に、店内の雰囲気や精算方法、ペット同伴についてなど、詳しくご紹介します。ぜひチェックしてみてください。
【阿左美冷蔵の基本情報】
項目 | 内容 |
---|---|
店名 | 阿左美冷蔵 金崎本店 |
所在地 | 埼玉県秩父郡皆野町27-1 |
アクセス | 公共交通機関:秩父鉄道「上長瀞駅」から徒歩3分 車アクセス:関越道「花園IC」から国道140号経由16km20分 |
電話番号 | 0494-62-1119 |
営業時間 | 本館:10:00~16:30(混雑時15:00頃オーダーストップの場合あり) 新館:午前 10:00〜12:00 / 午後 13:00〜16:00 |
定休日 | 本館:毎週木曜日 新館・別館(氷極・蔦楽庵):毎週水曜日・木曜日 (7月、8月は無休。その他GW営業日、臨時休業等公式サイトをご確認ください) |
予約 | 不可(来店順に案内) |
支払方法 | 現金のみ(かき氷提供時に精算) |
ペット同伴 | テラス席のみ可 |
駐車場 | 数台分有(繁忙期は利用不可)。 上長瀞駅の駐車場や近くのガソリンスタンドの駐車場が有料(1日500円)で利用可 |
公式サイト等 | 公式ブログ、公式Instagram |
【阿左美冷蔵とは?】

阿左美冷蔵は、秩父地方に残る数少ない“蔵元”として、天然氷の製造から提供まで一貫して行っているかき氷店。
明治23年創業以来、冬の間に1ヶ月以上じっくり凍らせて仕込んだ純度の高い天然氷を夏まで氷室で大切に保管し、自然のままの氷をふんわりと削って提供するというスタイルを守っています。
「頭がキーンとしない」かき氷としても有名!その秘密は氷の温度と削る技術にあるそう。氷を低温にし過ぎず適度に空気を含ませて削ることで、まるで雪のようなやさしい口どけに仕上がるんだとか。
皆さんはかき氷食べた時に頭がキーンとなる派ですか?
看板メニューの「蔵元秘伝みつ」は、上品な甘さの和三盆シロップをかけたかき氷です。口どけのよい天然氷にやさしい甘さが重なり、蔵元ならではの味わいが楽しめます。
定番の蔵元秘伝蜜を味わうことができる 本館のほかに、敷地内には別館である”氷極(ひぎょく)”や”蔦楽庵(ちょうらくあん)”もあり、こちらはなんと大人限定。
氷極:座敷スタイルで梅酒やウイスキーなどアルコールを使った変わり種かき氷を楽しめる大人向け空間。
蔦楽庵:和菓子+抹茶たてパフォーマンスがセットになったコース仕立て。和の演出が凝らされた特別な時間を過ごせる。ちょっと高級。
【観光の流れ】

ゴールデンウィーク真っ只中の朝9時半。開店は10時だが、すでにお店の前にはずらりと長蛇の列ができていた。
かき氷ってそんな朝イチで食べるものなのか?
心でそんなツッコミをしながらも、並んだならば覚悟を決めるしかない。
不思議と高揚感が湧いてくるのはそんな覚悟のせいなのか、それともかき氷という共通目的でつながった見知らぬものたちの妙な連帯感のせいなのか。理由はよくわからない。
列の後ろでは友人家族連合のちびっこ部隊がそのわんぱくぶりを余すところなく発揮していた。たぶん子供同士が同じ学校なのだろう。
「ねえ!かき氷まだ〜?!」
……なるほど。私も同じ気持ちだ。
最終的に席に着いたのは10:30頃。開店前並んでいた分も含めれば待ち時間はだいたい1時間。これでもいいほうで長い時には3時間近く並ぶこともあるらしい。かき氷の誘惑恐るべし。

並んでいるあいだ、周囲を見渡せば意外と目が飽きない。
古民家風の屋根、道端に並ぶレトロなオブジェ、渋いロゴの暖簾。まるでオシャレなかき氷テーマパークみたいだ。
列の先頭が見えてくるころ、店員さんがメニューを配りに来てくれる。待っている間にも選べるように、道ばたには看板メニューも立っているけど、こうして手元に紙を持って眺めると、俄然テンションが上がる。
やがて、運動会の本部テントのような白い日よけの下に案内され、そこで注文用紙に記入。
ここで本館にするか別館にするかの分岐ルートが発生する。
今回は阿左美冷蔵の秘伝蜜を堪能すべく本館を選択。選んだら、その紙をそっとお店の人に渡す。
まだ席にはつかない。店の軒先で、少しのあいだ“かき氷前の静けさ”を楽しみながら順番を待つ。
列の途中には必死にしがみついている謎の豚の置物が。なんとも愛くるしい。

順番が来るとスタッフに案内されて店内へ。
古民家風の建物で、内装もレトロで落ち着いた雰囲気。照明の明るさもどこか控えめでそれがまた落ち着く。
今回は店内席という運びであったが、ちらりと見えたテラス席も魅力的だ。テラスではペット同伴も可能で愛犬を連れた家族連れがのんびりかき氷を味わっていたりする。おそらくどこかの映画のワンシーンくらいにはなるだろう。
さて、席に着いたらあとはかき氷を待つだけだ。氷を削っている音がもうすでに聞こえてくる気がする。もうすぐ、来るぞ。

席に座ってほどなく、ついに運ばれてきた。
「蔵元秘伝みつ 極みスペシャル(税込1,500円)」。
…でかい。思っていたよりも、ずっと。壮観だ。思わず見惚れてしまう。
すると店員さんから一言――「お会計お願いします」。
そうだった。ここで精算するんだった。財布の中を慌ててごそごそ。
待っている間にお金の準備をしておけばよかったな。それができてこそ”スマートな男”ってやつなんだろうに。
気を取り直して、まずは蜜を。阿左美冷蔵伝統の和三盆蜜をそっと回しかける。
氷にすっと蜜を吸われていって、じわりと艶を帯びていく。
そして一口。ふわっ。…消えた?
優しくて、舌の上で静かにほどける。なんだこれ…うまい…。
一緒に添えられているのは、あずき粒あん、抹茶あん、白あんの三種。こちらはかなりの甘党向け。味変にちょっとずつ食べていくのがおすすめ。
目でも舌でも楽しませてくれる、天然氷のフルコース。贅沢な時間とはまさにこのこと。
一瞬で消えるその様、ニューヨーク・メッツ、千賀投手のお化けフォークかと思いましたよ。。
【思い出日記】
秩父旅行のなかで訪れた阿左美冷蔵。
美味しいふわふわのかき氷はもちろん、そこには蔵元としての歴史と空気が、静かに息づいていた。
驚いたのは、あの“待ち時間”さえもどこか心地よく感じられたこと。
普段なら並ぶのって正直ちょっと面倒なのに、ここではそれすら旅の一部として楽しめた。
のれんの揺れる音、人の話し声、風景――これがいわゆる“エモい”ってやつか?
ただかき氷を食べに行ったはずなのに、気がつけば、日常では味わえない時間の流れに浸っていた。
そんな旅の一場面。