2023年の11月、秩父へ足を運びました。狙いは、秩父の雲海夜景。じつは秩父では、紅葉だけでなく、雲海が見られるのも秋のこの季節なんです。昼夜の寒暖差が大きくなる10月から12月は、まさに雲海のベストシーズン。なかでも秩父の雲海は、市街地の夜景とともに見られる、全国でも珍しい絶景として知られています。
雲海だけでなく、紅葉スポットや秩父グルメを堪能できるグルメ店、そして温泉まで満喫してきました。ぜひ秋の行楽の参考にしてみてください。
【旅の基本情報】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 秩父(埼玉) |
| 旅の日数 | 日帰り |
| 旅のメンバー | 旦那とふたり旅 |
| 予算 | 1人当たり約5,000円(食事・施設利用料)+交通費 |
| 交通手段 | マイカー |
【旅に出た理由】
夜がいちばん深くなるころ、まだ街灯がぼんやりと光る中、私は車を走らせていました。目的地は、埼玉県秩父。雲海と夜景を撮るための、小さな夜の冒険の始まりです。
昼夜の寒暖差が大きくなる秋の秩父では、市街地を包み込むような幻想的な雲海が見られるそう。そんな話を聞いて、唯一無二の光景をぜひこの目で見てみたいと思い、すぐに計画。しかもこの時期は、紅葉との共演も楽しめる季節。夜空の星を追うように、車のライトが静かに山道を照らしていました。
【旅の流れ】
目的地の秩父ミューズパークに到着したのは、朝の5時ごろ。
車のドアを開けた瞬間、思わず「さむっ!」と声が出ました。太陽のない夜の空気は想像以上に冷たく、手袋をしていても指先がかじかみます。
ダウンを着てきて正解!マフラーも手袋もして完全装備なのに、やっぱり寒い!
それでも、暗闇の先に広がる幻想的な風景を思うと、眠気も寒さも吹き飛びます。展望台に向かうと、すでに三脚を立てていたのは2人のカメラマン。挨拶を交わし、私も静かにカメラを構えました。

夜明け前の空はまだ群青色。街の灯りがぼんやりと滲む夜景は、思わずため息がこぼれるほど儚く美しい。荒川にかかる秩父公園橋のあたりに、うっすらと白い靄も見えます。
10月から12月は、雲海が最も発生しやすい季節。もっと濃くならないかと期待を込めてシャッターを切り続けました。

やがて東の空が少しずつ明るくなり、群青が橙色に変わり始めたころ、星は段々と姿を消します。
街灯に照らされる雲海夜景が見たかったのに、もう陽が昇ってきちゃった……。ちょっと残念。

少しずつ雲が流れてきましたが、思ったよりも淡い雲海に少し肩を落としていた私に、近くのカメラマンのおじさまが声をかけてくれました。
「この時期はほぼ毎日撮影に来てるけど、今日みたいに雲海と街の景色が両方見える日は滅多にないんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、驚きと嬉しさが入り混じって胸が熱くなりました。その時に見えていた景色がこちらです。

街を包み込むように漂う白い霧と、朝日に照らされ金色に染まる空。まさに、1日のはじまりを感じさせる絶景です。
太陽が昇りきると、空気の冷たさが少し和らぎました。ふと周りを見渡すと、木々が赤や黄色に色づいていることに気づきます。


山の斜面を覆う木々が赤や茶色に色づいていくのを眺めながら走ります。ミューズパークから車で約1時間ほど走ると、滝川渓谷にかかる赤い鉄橋が見えました。
近くの大きな駐車場に車を止め、豆焼橋へ。
眼下には深いV字の谷が広がり、その両側を紅葉が埋め尽くしています。茶色を基調に、ところどころに黄色や赤が散りばめられ、控えめなのに深みのある秋の色。
派手じゃないけれど、心にじんわり残ります。これぞ“大人の紅葉”ですね。
豆焼橋から見える黄色い雁坂大橋がまた美しく、渓谷全体に立体感を与えていました。

滝川渓谷の紅葉の見頃は10月下旬から11月中旬。人も少なく、ただ風と水の音だけが響く中で深呼吸をすると、ひんやりとした空気が肺の奥まで届き、心まで透き通るようでした。
朝早くから活動していたので、お腹はぺこぺこ。絶景をあとに、早めのランチを食べに向かったのはちんばた。秩父名物・わらじカツ丼の名店です。
緩やかな坂道を上っていくと家が見えなくなってきた……本当にこの先にあるのかな…?
しかし、到着してみると11時開店のはずなのに駐車場はすでに満車!この人気ぶりには驚きました。運よく席に通され、注文したのは看板メニュー「秩父名物W丼(1,500円)」。

湯気の向こうに巨大なわらじカツと炭火で焼かれた味噌豚が!カツはサクサクの衣に甘辛いタレがしっかり染み込んでいるのに、外はカリッ、中はふんわり柔らか。タレのコクが広がり、思わず笑みがこぼれました。
見た目の迫力にびっくりしたけど、気づいたら完食。ぺろっと食べちゃいました!
ボリューム満点なのに重くなく、食後は心地よい満腹感。窓の外に広がるのどかな風景を眺めながら、「ああ、秩父って本当にいいな」と思わずつぶやきました。
お腹が満たされたあとは、朝に冷え切った身体を温めるべく、秩父の老舗宿、新木鉱泉へ。創業200年を超える歴史ある温泉宿で、木の温もりを感じる落ち着いた佇まいがとても素敵です。

湯船に浸かると、とろりとした肌ざわりの源泉が全身を包み込みます。ぬるめでやわらかなお湯が、冷えた体をじんわりと温めてくれました。
そして、この新木鉱泉のもうひとつの魅力が、源泉を使った水風呂。サウナでしっかり温まったあとに入るこの水風呂は、まろやかで、肌の上をすべるような優しい冷たさ。
とろっとした水風呂、最高すぎました……!
朝の冷たい空気に震えていた時間が嘘のよう。湯上がりに外の風を浴びると、驚くほどやわらかく感じられて、穏やかな気持ちに。
【思い出日記】
夜中に出発した秩父の旅は、寒さも眠気も吹き飛ばすほど、心に残る風景に満ちていました。
朝の雲海、秋の紅葉、秩父グルメに温泉の湯けむり。
どれも違う秋の顔を見せてくれた秩父。
秋になると紅葉狩りにばかり出かける私にとってとても新鮮な秋の日帰り旅行になりました。
またこの景色が見たくなったら、次は帽子と耳当てを持って、マフラーを二重巻きにして行こうと思います。
-【秩父観光なび(秩父市公式観光サイト)】
-【秩父ミューズパーク 公式】
-【豆焼橋・雁坂大橋(埼玉県公式)】
-【秩父神社 公式】
-【新木鉱泉(新木鉱泉旅館)公式】
-【ちんばた 公式】
-【芋うらら 公式】
-【tenki.jp】(当日の気象・放射冷却の目安確認に)





