【草津温泉】動物園?肉寿司?癒しの正体は温泉だけじゃない!草津を楽しみつくした1泊2日の旅。

草津 湯畑

気がつけば12月も半ば。寒い。とにかく。

布団には未練たっぷりに別れを告げ、電車の座席ヒーターに不意に恋をする。そうなったらもう温泉に行けというサインだ。 

というわけで池袋から草津温泉へ1泊2日の小さな逃避行。直行バスで行ける気軽さもあって、旅のハードルは意外と低め。

有名な湯畑をはじめ、食べ歩きや猿の湯もみショー、草津熱帯圏では動物たちとのふれあいも満喫。ととのうだけじゃない、草津にはいろんな“楽しい”がつまっていた。

冬の草津の旅行記をお届けするので、ぜひ楽しんでみてください。

目次

【旅の基本情報】

項目内容
エリア草津温泉
旅の日数1泊2日
旅のメンバーカップル
予算1人あたり30000円ほど(交通費・宿泊費・お土産など込み)
交通手段池袋から草津温泉までの直通バス(Dts line

【旅に出た理由】

ここ最近なんとなく”旅行してない感”が溜まってきていた。

明確に「旅行したい!」というより、「あれ、最後に旅行行ったのいつだっけ?」みたいな。

気づいたら“草津”って単語だけが脳内をふわふわ浮遊していて、

「湯畑ってどんな畑?」「温泉卵の養殖場か?」と勝手に妄想が暴走していった。

最終的には

「まぁ、あれこれ考えず草津で温泉にでも浸かりますか」

という旅慣れた大人の余裕風味がする理由に落ち着いた…ことになっている。

が、ほんとのところは”カニ食べ放題”の文字を見た瞬間、理性という防御力がゼロになったから。人は殻付きの甲殻類にめっぽう弱い。


【旅の流れ】

1日目

STEP
温泉より先に気分が沸いた、湯畑とのご対面。
草津 湯畑

バスを降りた瞬間、空気が変わる。いや、空気というよりにおいだ。……くさっ!でも、これこれ。

「温泉地に来たな〜」って一発で実感できる。クセになるような、ならないような。

坂道を下って草津のシンボル・湯畑に到着。いきなりのクライマックス感。もくもくと立ちのぼる湯けむりと、エメラルドグリーンの湯がゴウゴウ音を立てて流れていく。動画やら写真で知ってる気になっていた。脳内の情報がいかに薄っぺらかったかを痛感した。

「ツーショット撮ろうよ」と言ってスマホを構えるも、湯けむりの乱入が思いのほか手強く、もはや顔認証すら危うい。たまにいるよね、テレビの中継に割って入ってくるタイプ。今回は湯けむりがそれ。

STEP
肉寿司は絶対うまいに決まってる。
湯川テラス 肉寿司

気づけば空から雪がちらつく。さすがに身体が冷えてきたので、そろそろどこか入りたいねと湯畑からすぐの「湯川テラス」に避難。木の温もりを感じるオシャレストランだ。

頼んだのは上州牛の肉寿司(4貫1,200円)を2人分。あと、地ビール梅酒を旅を言い訳にして飲む。だって旅だし。

本当は「上州牛といくらの贅沢ひつまぶし」(3,800円)にも心惹かれたけど……旅はまだ序盤。

これから先、魅惑の食べ歩きゾーンが続く草津、ここで満腹になってしまってはもったいない。

お腹を膨らませすぎず、財布は凹ませすぎず。 初手から飛ばしすぎは禁物だ。

普段は銀色のやつとか一番のやつだけど、旅先ではやっぱり地ビール。「昼から飲むのはどうか…」ってなるけど、ここ草津だし。温泉だし。雪だし。むしろその罪悪感がいいつまみ。

STEP
お猿さんが湯もみ?草津の常識ひっくり返るショータイム開演。
草津

お昼を食べ終えたあとは「おさ湯」へ。
草津名物・湯もみショーといえば「熱乃湯」が王道ど真ん中ストレート。でも今回はあえてのナックルカーブを膝下に。

なんと出場者は──猿。いや、オールスター選出レベルに芸達者なお猿さん2匹と、それをナビゲートする名コーチのステージだ。

観戦チケットを手に入れてから次の打席までは少し時間があったので、周囲をぶらぶら。温泉たまごをつついたり、あゆの塩焼きとビールで調子を整える。旅先でのちょい飲みはだいたい高打率だ。

さて本番。湯もみ用の板をバットみたいに巧みに操るお猿さんたちと、タイミングよくそれに突っ込むトレーナーさんのコンビネーションに脱帽。観客席はホームラン級の歓声に包まれた。

ラストは写真撮影タイムという名のヒーローインタビュー。手を振る今日のMVP2匹と満面の笑みのトレーナー、シャッター音。ファンサービスも万全で最後まで見事な試合運びであった。

STEP
西の河原露天風呂でゆっくり。
草津温泉 三湯めぐり 西の河原露天風呂

草津温泉には「三湯めぐり」と呼ばれる名湯コレクションがあるらしい。

木の風情が美しい「御座之湯」、合わせ湯が楽しめる「大滝乃湯」、そして広さが自慢の「西の河原露天風呂」。

その中でも選ばれし今夜の名湯は「西の河原露天風呂」。

口コミで「野ざらしだからちょっと汚い」と書かれていたけど、実際はまったくそんなことなかった。むしろ綺麗に整備されていて、快適で、そして何より……広い!のんびりと頭を省エネモードにしていく。

露天風呂×夕暮れの空דデート代は男が奢るべきか?”とか“唐揚げにレモンかけるか?”とか正直どっちでもいいよなぁ。=至高のととのい。

湯から上がるといつの間にか公園内ではライトアップが始まっていた。湯けむりと雪が光をまとう様子は幻想的で、うっとり見惚れていると──気づけば視界の端に違和感が。
温泉であったまったあとは自然の冷凍庫でフリーズする前髪。これが冬の草津の洗礼なのか。

昔は「賽の河原」とも呼ばれていたこの場所。源泉の蒸気が立ちこめる荒涼とした風景が、三途の川のほとりの場所である“賽の河原”を思わせたことに由来すると言われている。
どこか現世と少しずれた空気が流れていて、落ち着くような落ち着かないような、不思議な雰囲気に包まれている。

STEP
湯とカニと柚子酒で明日へのチャージ完了。
湯畑草庵 カニビュッフェ

この日の宿は「湯畑草庵」。

貸切風呂で芯まで温まったあと、夕食はお待ちかね、姉妹館「ナウリゾートホテル」のビュッフェへ出陣。

そこに待ち構えていたのは山盛りのカニ!カニ!カニ!

豪快に足の殻を割り頬張る。我々はいつから王族になったのか、いやはたまた宴をひらく海賊か。

食後は部屋でゆっくり、安斎商店で買っておいた「誉国光 柚子酒」を開封。温泉とカニで満たされた体に、やさしい柚子の風味がふわっと染みわたる。

あれおいしかったね、これ面白かったねと言いあいながらグラスを傾け勝手に満足してみる。何も変わってないはずなのに、ちょっとだけいい人生を送れてる気がしたそんな夜。


2日目

STEP
朝風呂→釜飯の合わせ技一本で完全勝利。
いいやま亭 釜飯

旅の朝は、宿泊者が利用できる姉妹館「源泉 一乃湯の大浴場からスタート。気温2℃、お湯は41℃。この温度差で人はちゃんと目が覚めるらしい。

温泉の後はまずは腹ごしらえとばかりに「いいやま亭」へ。

注文したのは、鳥・舞茸・山菜の釜飯(1,760円)と、上州牛の釜飯(同じく1,760円)を2人でシェア。群馬名物の舞茸は香りが良く、上州牛は甘みとコクがある。

どっちの方がおすすめ?それを聞くのは野暮。どっちも引き分けというかどっちも優勝。

昨日の贅沢が抜けきらないお腹に、またしても贅沢が詰め込まれた。胃的にはホワイト企業?それともブラック?

STEP
草津の小さなジャングルは想像以上に”アツい”。
草津熱帯圏 エリマキキツネザル

釜飯でお腹を満たした後は、草津温泉らしからぬ不思議スポット「草津熱帯圏」へ。温泉街に突如現れるドーム型の温室で、ひとたび中に入れば気温も湿度も一気に南国モード。どう考えても季節感もジャンルも真逆で感覚がバグりそうになる。

入ってみたら、予想以上にちゃんと熱帯だった。
巨大なワニが無言で横たわり、カミツキガメがじっとこちらを睨み、鳥たちは自分が派手なことを完全に自覚している顔で歩いている。

驚いたのは動物たちとの距離感の近さだ。
考えごとを放棄した中間管理職みたいな顔のカピバラと、出世争いに忙しい猿山のお猿さんには餌やり体験ができる。私たちはというと、食べ物を持っている間だけは絶大な信頼を得て、最高ランクの人事評価を叩き出せる。
敬意って、意外と物理的だったりする。これは人間界でも共通だ。

そして極めつけは、推しのアイドルばりに愛嬌を振りまくエリマキキツネザルとのふれあい。モフモフで黒目がちで、これはセンターで間違いないでしょう。

草津に来たはずが、気づけば完全に推し活していた──そんな午後。

エリマキキツネザル「かわいいだけじゃだめですか?」

STEP
最後の一湯は熱さでとろける。
裏草津 地蔵の湯

旅のエンドロールは裏草津エリアにある無料の共同浴場「地蔵の湯」へ。

のれんをくぐり中に入ると、いきなり湯船。脱衣所と湯船が同じ空間にあるのが驚き。
壁の向こうは女湯になっていて、地元のおじさんとその奥さんがなにやら会話している。

「そっち、熱くないか?」「うーん…熱いけど、いつもよりはマシだよね」

壁1枚隔てて交わされる、草津式夫婦の連携プレー。そんな草津の生活音にローカルを感じた一幕。

実はこの地蔵の湯、本気モードの時は1分でギブなんて声もあるらしい。ただ、観光シーズンの休日とあってかこの日は割と落ち着いた温度設定。
とはいえ、普通の温泉基準でいえばしっかり熱湯。旅の締めとして申し分なく、茹であがる。

湯あたりにだけは注意しとこう。


【思い出日記】

草津といえば、やっぱり温泉。

でも実際に歩いてみると、それだけじゃない魅力が、あちこちにあった。

笑いをくれたお猿さん、ふれあいの熱帯圏、地元の味、裏路地の静けさ。

魅力がありすぎるこの町は、ただ癒されるだけじゃない。

「また来たい」と自然と思わせてくれる、そんな”何か”を持っていた。

その“何か”をうまく言葉にするには、もう少し、草津を旅しないといけない気がしている。

【旅のまとめ/行った場所一覧】

  • 草津温泉湯畑(草津と言えばここ、みたいな象徴的スポット。けっこう湯が暴れてる。けど柵がしっかりしてるのでご安心を。)
  • 湯川テラス(“泊まれるレストラン”という新ジャンル。肉寿司と地ビールで旅行してる感が一気に高まる。)
  • おさ湯(猿が湯もみする時代はもう来ている。ちゃんとトレーナーのいうことをきくどころか、トレーナーより冷静な猿がいた。まさに猿のプロ集団。)
  • 草津ガラス蔵(外の売店で温泉卵を食べられる。ガラス関係の展示もあるが今回は卵メイン。)
  • だんべえ茶屋(鮎の塩焼きを売ってる店。塩も効いててしっかり鮎。旅先っぽい魚ランキング上位。)
  • 西の河原露天風呂(とにかく広い。大自然を感じられる草津が誇る自慢の露天風呂。)
  • 草津草庵(和モダンなデザインの宿。足湯cafeは足湯に浸かりながら楽しめる喫茶で宿泊していなくても利用可。)
  • 安齋商店(地元の酒屋。ここでお酒を買って部屋で飲めばやたら旅先っぽい気分になること間違いなし。)
  • 源泉 一乃湯(姉妹館の温泉宿。草庵の宿泊者は無料で大浴場が使える。朝からしっかり温泉に入ってると健康な人みたいな錯覚に陥る。)
  • いいやま亭(釜飯の名店で結構並ぶ。いろんな釜飯を楽しめる。観光地価格を普通に超えてくる美味さ。)
  • 草津熱帯圏(ふれあえすぎる動物たち。え、触っていいの?ってレベルの距離感。)
  • 地蔵の湯(裏草津の無料共同浴場。脱衣所と湯船の区別があいまい。お湯は普通に熱い。今日は観光向けモードだったけど、本気の時は修行らしい。)

今回泊まった宿・ホテル

湯畑草庵

草津随一の老舗宿「奈良屋」グループの施設。
落ち着いた和モダンの雰囲気が心地よく、草津の中心地にいながらゆったり過ごせる宿です。

貸切風呂や姉妹館のサービスも充実していて、温泉旅の拠点としてぴったり。

所在群馬県吾妻郡草津町草津118-1
草津温泉バスターミナルより徒歩約5分
駐車場なし(車で来た場合は、姉妹館の 草津ナウリゾートホテルの駐車場 を無料で利用可)
価格大人×2名 1泊の料金
10000円(税込)〜/1名あたり5000円〜 

※宿泊料金は季節や曜日、予約タイミングにより異なる場合があります。
今回のプランビュッフェディナー付きプラン
大人×2名 1泊の料金
24000円(税込)〜/1名あたり12000円〜 

※宿泊料金は季節や曜日、予約タイミングにより異なる場合があります。
公式instagramhttps://wwwinstagram.com/yubatake_souan/

この記事を書いた人

しおもー。

しおもー。

「たびごと。」ライター。
サウナとウイスキーを愛しています。家ではスネークヘッド(熱帯魚)を飼いつつ、最近ではパキポディウムを育てる園芸ライフにハマり中。
魚と植物と蒸気に囲まれながら、気ままにゆっくり過ごしてます。